なぜ数学の定期試験なのに「法則の名称」を出題するのか?──観点別評価の帰結

問 ( a (x + y) = ax + by ) であるとき、この法則を何というか。
解 分配法則

 数学的な思考能力とその到達度を評価するはずの「数学の」定期試験なのに、「法則の名称」を答えさせる問題が出されるというのは、かなり困った事態なのではないかと思うのであります。しかも漢字で書かないと減点、さらに授業で教わったとおりの名称でない「分配則」「カッコをバラしても同じの法則」などの解答も減点という縛りまでついてくるとなると、もはや漢字検定なのか数学検定なのか判別不能です。

このように「問題」とその「正解」という「一問一答」をマッチングさせる百人一首大会のような出題は、計算問題でも証明問題でもなければ、空間認識とも数量概念とも全く無関係であり、何をどう評価しようとしているのかさっぱり意味が分からない試験だったわけで、小学校から大学の学部まで長いこと数学の試験を受けて来た身としても完全に初見なのでありました。

ところが、上記のツイートに対して多く寄せられた驚きの声に紛れて、「え、普通だと思ってました」というリプが、若い世代を中心に複数あったのも事実です。また、中学生・高校生の子を持つ親御さんからの報告によれば、傾向として特に地方の公立中に多く見られるようでもあります。

 

いったい、いつからどうしてこんなことになってしまったんでしょうか。*1

 

*1:こちらの記事は下記のまとめに収載した皆様との意見交換を基に執筆させて頂きました。この場を借りて御礼申し上げます:公立中学校の数学の中間テストで「法則の名前」を答えさせる問題が出題される - Togetter

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