小包中納言物語 - AS Loves Insects -

2Eギフテッドな蟲愛づる娘のホームエデュケーション

「ライブラリ・スクーリング」─我が家のホームスクーリング

 去年の秋以降ほとんど引きこもりだった娘も、この多くの反響を呼んだツイートに救われた一人です。

 

 

ホーム・スクーリングとの出会い

以前から知り合いだった子のお母さんから、「うちの子は3人とも学校行かせてません。積極的不登校、ホーム・スクーリングです」とカミングアウトされました。そして、娘に対しても

行きたくても行けないのなら、学校なんて行く必要ないのよ。うちの兄弟みてごらんなさい、元気に育っているでしょ?先生たちにも「ホーム・スクーリングをやっています」といったら、うちの市内だったら私たちで前例があるから大丈夫。何か文句を言われたら、あたしに言ってきなさい。学校を説得してあげるから。

と大変心強く励ましてくれました。これまで「不登校の身でありながら平日の日中に外出すること」に引け目を感じていた娘も、「そうかホーム・スクールなら認めてもらえるんだね」と、罪悪感から解放された様子でした。

 

ホーム・スクーリングと、義務教育を受ける権利と、どう折り合いをつけるのかという問題や、アメリカの反進化論教育を背景にしたホーム・スクーリングの是非など、微妙な問題があることは承知しています。ただ、娘のように、そもそも学校に行けない罪悪感から引きこもりになって、結果としてさまざまな機会からも遮断されている状況は、教育の権利を云々する以前の危機的状況だということもご理解頂けるでしょうか。

 

平日朝の図書館に行ってみた

娘はもともと、スマイルゼミやチャレンジをすべてやりこなしており、学校に行かなくても勉強は続けていました。ただ、やはり自宅にこもっていると、どうしてもママと衝突したりお互いのストレスは溜まる一方。かといって外出しても周りが商業地に囲まれた我が家では騒音もうるさく、かといってカフェなど有料施設に通うのも出費がかさみます。

  

そんな折、近所に図書館がオープンしました。ここは特に児童書が豊富で、娘の好きな昆虫・生き物関連の蔵書も面白いのが揃っています。加えて周囲を広々とした公園の水と緑に囲まれており、素晴らしい環境です。ここには私も仕事の関係で週に何度も資料調査で詰めているのですが、娘の通級指導がない日には、不登校で引きこもっているよりはと、同伴させることにしました。

 

それでも、はじめは「学校のある昼間の時間に図書館にいたら、学校に通告されて連れて行かれるんじゃないか」「あの子は学校をサボっているんだ、と白い目で見られるのではないか」と不安がって、なかなか付いて来ようとしませんでした。しかし、前述の鎌倉図書館のツイートのこと、その後の社会的な反響のことを伝えて「きっとあの図書館でも黙って見守ってくれるよ」と諭しました。加えて先日の「ホーム・スクーリング宣言」のことも思い出し、ようやく吹っ切れたのか、とにかく試しに行ってみました。

 

実は私としても、小学生と父親が毎日平日に通ってくるとなると、内心、一度ぐらいは「どうしたんですか?」と質問されるかな、と身構える気持ちもあったのですが、やはり毎日ただただ笑顔で入館を迎え入れてくれるのみです。

 

 

ライブラリ・スクーリングの日常

そんなこんなで図書館通いにも慣れてきた今日このごろですが、娘はいつもこんなふうに過ごしています。

まずタブレット教材を持ち込んでのお勉強が終わると、昆虫や生き物関係の本を興味の向くまま本棚から取り出してきては、私の隣で読みふけっています。すると決まって身近な生き物についての新たな知見を得るらしく、「今日は○○を探しに行く!」となって昼休みや帰り道でのフィールドワークが始まります。

娘の跡に続いてその指差す方向に目をやっていると、ゾウムシやアリグモ、オトシブミなど、自分では見過ごしていたであろう虫たちが意外にも多く身近に潜んでいることに気付かされます。

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また娘には「指に虫たちが寄ってくる」という特性があり、先日は大人でも捕まえるのが難しいアオスジアゲハを素手で捕獲に成功して連れて帰ってきました。

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小さい頃に買ってあげたテント型の室内ハウスを引っ張り出してきて放蝶し、多摩動物園の蝶々館のように中を飛び回っています。

 

残念ながらそのうちのオスが子孫を残すための役目を終えて動かなくなってしまったので、記念に「自分で標本を作れる道具がほしい」というので中野の「むし社」に買い出しにいき、早速iPadで調べながらせっせと展翅に励んでいました。

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古代ギリシアでは、アリストテレスがリュケイオンに学園を開き、弟子たちと庭園を歩いて哲学について語り合ったといいます。歴史学者の草光俊雄先生は次のように述べています。*1

庭は深遠な思想を語る場でもあったが,アリストテレスやテオプラストスにとっては植物観察の場所でもあった。ペリパトス派は実証主義をその信条としていた。彼らは観察を第一とし,当時の最先端の知識を動員しながら,自然と向き合っていたのである。庭園はそのための必須の場所であった。これは後に中世の薬草園などへとつながる科学的探求の場所としての役割がすでにギリシア時代にでき上がっていたことを示している。

 

生きづらさから何とか逃れようと親子で必死に格闘してきたここ数年でしたが、ふと気がつくと、古来から理想とされてきた教育環境に、いつのまにか迷い込んでしまったようです。

 

withnews.jp

 

 

*1:草光俊雄・菅 靖子『ヨーロッパの歴史II──植物からみるヨーロッパの歴史──』放送大学教育振興会(2015)29頁。