小包中納言物語 - AS Loves Insects -

2Eギフテッドな蟲愛づる娘のホームエデュケーション

子どもの認知特性の見極め方

以前「子どもの才能の見極め方」と題して、IQのような一元的評価基準に限定しない「多元的知能(MI)」による子どもの才能の見極め方について書きました。ここで紹介した「多元的知能」は8種類に分類されていたのでした。

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3種類の学習チャンネル

話はこれだけでは終わりません。簡易MIチェックテストを考案した松村暢隆博士は、さらに深く親の本音にまで踏み込んできます。

しかし、じっさい多くの親の本音のところは、音楽よりも、算数・國語などの主要教科が得意になってほしいというのが切実な願いです。*1

よくわかってらっしゃる。

 

8種のMIのなかでも、とくに「言語的知能」「空間的知能」「身体運動的知能」という3つの知能については、主要教科の学習にとって重要な役割を担っているというのです。それぞれの知能は、次のような異なる学習スタイルと対応づけられます。

  1. 言語的知能 ⇒ 聞いたり読んだりして、ことばで学ぶ
  2. 空間的知能 ⇒ 絵や図解など視覚的イメージを見て学ぶ
  3. 身体運動的知能 ⇒ 物に触って、手を動かして学ぶ

例として挙げられているのが理科の学習です。たとえば高校の物理で波動を習うとき、教科書の文章や授業で先生に口頭で説明されるのがわかりやすいか。

または、グラフを図示されたり、図を描いてみるのがわかりやすいか。

あるいは、実際に実験装置を触ったり、手を動かしてみるのがわかりやすいか。

得意なMIという「学習チャンネル」に応じた教材を選んだり、学び方を工夫したりすることで、子どもの学習の効果が高まることが期待されます。せっかくですので、3種類に絞った簡易MIチェックテストを記事の末尾に再掲しておきます。

 

2つの認知特性
──「聴覚言語優位型」と「視覚映像優位型」

さらに、以前の記事で言及した『ギフテッド──天才の育て方』で岡南氏は、子どもの認知特性を「聴覚言語優位型」「視覚映像優位型」の2種類にまで絞り込み、それぞれの特性に適した教育的対応を提案しています。*2

岡氏によれば、「聴覚言語優位型」とは聴覚からの理解や記憶に優れた認知特徴をもつもの、「視覚映像優位型」とは視覚からの理解や記憶に優れた認知特徴のものをそれぞれ意味します。より詳しい分類は文献に譲るとして、ここではまず、どのような配慮が有効とされるのかを見てみましょう。*3

 聴覚言語優位型への教育(逐次処理型)

  • 段階的な教え方
    いくつかの指導ステップを経て、指導の狙いに到達するような段階的な指導
  • 部分から全体へ
     注目させるべき刺激を、はじめは部分的に提示し、徐々に全体へ広げていく指導
  • 順序性の重視
    番号などを用いながら、課題解決の順序を重視した指導
  • 聴覚的・言語的 手がかり
    聴覚的・言語的な手がかりを用いて課題解決を図る指導
  • 時間的・分析的
    時間的な手がかりや分析的な手法を用いて課題解決を図る指導

視覚映像優位型への教育(同時処理型)

  • 全体を踏まえた教え方
    指導のねらいの本質的な部分を含んでいるような課題をはじめから提示する指導
  • 全体から部分へ
     複数の刺激を一つのかたまりとしてはじめから一度に提示し、刺激全体をとらえさせてから細部へと移行させていく指導
  • 関連性の重視
    提示された複数の刺激感の関連性に注目させる指導
  • 視覚的・運動的 手がかり
    視覚的・運動的手がかりを用いて課題解決を図る指導
  • 空間的・統合的
    空間的な手がかりを用いたり、統合的な手法で課題解決を図る指導

 

このように、二種類の対極的な指導法のうち、子どもがどちらを好むかを観察することで、優位な認知特性が浮かび上がってくるのではないでしょうか。教材選びや学び方の工夫、さらには塾や家庭教師との相性を見極める上でも参考になりそうです。

 

本の学校教育の偏り

ところが、ここで一つ、大きな問題が明らかになります。我が国の学校教育の主要教科においては、カリキュラムから教材、授業のスタイルに至るまで、ほとんどが聴覚言語優位型の児童向けに設計されているという現実です。教科書の文章、黒板の文字、先生の口頭説明、繰り返しドリルなどはすべて、聴覚優位で言語思考が可能な子どもが教育対象であるという前提に立っています。

 

 この弊害に関しては機会を改めて論じることにしますが、視覚映像優位が顕著な我が家の蟲愛づる娘のために、これまでにも様々な教材・学習法を模索してきましたので、その一部をご紹介しておきます。

 

 

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イギリスの小学校教科書で楽しく英語を学ぶ

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(続く)

付録:3種類の学習チャンネル簡易チェック

できればお子さん自身に質問してみて、本人が主観的に当てはまると思っているものにチェックをつけて下さい。(低学年や小さいお子さんの場合は、質問の意味を易しく言い換えて質問する必要があるかもしれません)

◆言語的知能

 
 
 
 
 


◆身体運動的知能

全身を動かすスポーツが得意だ。
手先が器用で、細かい作業が上手にできる。
器具の扱い方は、ことばの説明や図解よりも実際に触ってみるほうがよくわかる。
 ものごとを覚えたりイメージするときに、手を動かしたほうがうまくできる。
 ダンスなどの身振りを覚えるのが得意だ。


◆空間的知能

ことばで説明されるよりも絵や図で説明されるほうがよくわかる。
ジグソーなどの図形パズル、ルービックキューブのような立体パズルが得意だ。
見た物や景色を思い出して正確に描ける。
 初めて行った場所でも、道に迷わない。
 数学の図形問題が得意だ。

 *4 

学習チャンネル簡易スコア

 

References

*1:松村暢隆『本当の「才能」見つけて育てようミネルヴァ書房(2008)135ペ頁。

*2:岡南「視覚優位性の世界」「視覚優位型の子どもたちへの特別支援教育」、杉山登志郎・岡南・小倉正義『ギフテッド──天才の育て方』第三章・第四章、学研 (2009)。

*3:岡(2009)64頁:藤田和弘・他『長所活用型指導で子どもが変わる』図書文化社(1998)29頁からの引用箇所より改変。

*4:松村(2008)126-9頁より抜粋。